乳腺外科

当科で扱う主な疾患と症状

  • 乳がん
  • 線維腺腫
  • 葉状腫瘍
  • 乳輪下膿瘍
  • その他乳腺疾患一般

乳がんの診断・検査について

乳がんの診断・検査について

乳房、脇、首などを手で触って診察する視触診のほか、以下の検査があります

マンモグラフィ

乳房をはさんで撮影するレントゲン検査です。触診ではわからないような早期がんの検出に有用です。女性技師が担当します。

超音波検査

ゼリーをつけた器械を当て乳房の断面像を撮影します。放射線被ばくはありません。組織や細胞を採取するときにも使います。

穿刺吸引細胞診

病変の中へ細い針をすすめて細胞を注射器で吸い取り、顕微鏡でみて細胞の種類や性質を調べます。結果は1週間くらいかかります。

針生検(画像ガイド下組織生検)

局所麻酔をして3ミリメートルほど皮膚を切開し、太めの針を挿入して病変の一部を削り取って検査に出します。細胞診より確実に組織を採取でき、がんの場合は薬物療法の選択にも活用します。結果は1週間以上かかります。

乳がんの外科治療について

乳房全切除術と部分切除術(乳房温存術)

がんの乳房内の広がり方により決まります。一般的に3センチ以下であれば部分切除は可能ですがMRIやCTで詳しく確認します。部分切除の場合は残した乳房へ術後放射線治療を行います。またがんの進行度と乳房術式は必ずしも一致しませんし、軽いステージでも全切除となることはあります。

センチネルリンパ節生検検査と腋窩郭清術

脇のリンパ節に乳がんが転移しているかどうかは、がんの進行度や薬物療法の決定に重要です。センチネルリンパ節生検とはリンパ節転移が明らかでない場合に行なう検査で、代表となるリンパ節を見つけ出し、そこに転移がないかごくわずかであれば検査だけとします。転移がある場合は腋窩郭清術という手術となり、主要な血管神経は残して脇にあるリンパ節群を切除します。腋窩郭清術をした場合は程度は様々ですが同じ側の腕のリンパ浮腫が起こることがあります。

乳房再建について

乳房全切除後に失われたふくらみを人工乳房あるいは自家組織で作り出す手術法です。乳房切除と同時に行なう一次再建(同時再建)と、術後落ち着いてから行なう二次再建があります。この手術は形成外科が担当しますので同時再建の場合は形成外科と連携して手術を予定します。

乳がんの薬物療法について

乳がんは手術だけでなく多くの場合、薬物療法も重要です。取り切れたとしても術後再発してくるのは画像検査では写らない微小な転移が隠れていたと考えられています。一定期間薬物療法を行うことで隠れたがん細胞を抑えて再発リスクを減らします。薬物の種類には、女性ホルモンに関わる内分泌療法(ホルモン療法)、化学療法(抗がん剤治療)、分子標的治療薬、免疫チェックポイント阻害薬があります。使用する薬物は、がんの性質、薬剤感受性の有無、ステージに基づいて決定します。乳がんのタイプとステージによりますが、術前に化学療法を行い術後結果に基づいてその後の薬物内容を見直し、治療効果をより高められるようになってきました。
薬物療法は外来通院で行っています。化学療法センター専任のスタッフが事前説明、副作用対策、生活支援、栄養相談など対応しています。

術後の上肢リンパ浮腫について

乳がんで腋窩郭清術を行った場合、同じ側の腕のむくみが起こることがあります。腕から心臓へ向かうリンパの通り道が脇の手術によって減ってしまうためです。起こる頻度、程度は様々ですが上肢リンパ浮腫は3人に1人くらいの割合で発生します。感染などの起こりやすい合併症を防ぐため当科では入院中にリハビリテーション技師による説明や指導を、退院後は専任スタッフによるリンパ浮腫外来にて支援、アドバイスを行っています。

遺伝学的検査について

どんながんでも5~10%の方は生まれながらに持つ遺伝子の多様性・バリエーションに関連しています。乳がんでは20種ほどの関連遺伝子があり、一定の基準はありますが、BRCA1/2遺伝子については調べて今後の治療や発症予防に活用することができるようになっています。当院ではゲノム医療科に認定遺伝カウンセラーが常勤しておりますので理解を深めるために遺伝カウンセリングを受けることが可能です。

乳がん以外の病気について

乳房に起こる病気はがん以外にもあります。がんとは異なる起源の細胞からなる葉状腫瘍や、線維腺腫、乳輪下膿瘍など。葉状腫瘍は増大傾向のある腫瘍で良性・悪性・境界にわけられます。治療は手術となります。線維腺腫は若年女性に起こりやすい良性腫瘍です。3センチこえる場合は手術を検討します。乳輪下膿瘍は乳頭付近に起こる膿瘍、膿のたまった状態です。抗生剤や切開排膿処置をします。

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