歯科口腔外科

当科で扱う主な疾患と症状

  • 親知らずの抜歯手術
  • 嚢胞
  • 顎顔面領域の炎症
  • 顎関節症
  • 顎顔面の骨折
  • 良性腫瘍
  • 顎変形症
  • 口唇口蓋裂
  • 口腔がん
  • 口腔乾燥症
  • 口腔粘膜疾患
  • 顔面の神経痛
  • 唾液腺疾患

親知らず等の入院手術

親知らずの手術

痛みや不安に配慮した抜歯

複数の歯や親知らずを抜歯する場合には、静脈麻酔や全身麻酔により手術中の負担を軽減します。また抗生物質を点滴で行うことで、手術後の感染予防に努めています。抜歯に対して不安がある方はご相談ください。

外傷

顎顔面骨骨折の治療

顎顔面領域の骨折は、交通事故によるものが多いことが知られていますが、近年は、高齢者の転倒やスポーツによる外傷が増えています。顎骨骨折等の顔面外傷に対しては、救急科、脳神経外科、形成外科をはじめとしてチームでの医療体制を構築しています。早期の治療を行い、社会復帰を目指しています。またスポーツによる外傷では、地域医療機関と連携して、できる限り歯を残すリハビリにも取り組んでいます。

悪性腫瘍

口腔がんの治療:2週間以上治らない口内炎は要注意です!気になる症状があれば当科へご相談
ください。

悪性腫瘍(舌、歯肉、口底、頬粘膜など)に関しては手術療法を中心に放射線治療や化学療法も併用した治療を行っています。口腔がんの標準治療に加えて、患者さま1人ひとりの社会生活に基づいた最良の治療をご提案します。

舌がん

舌がん

口底がん

口底がん

頬粘膜がん

頬粘膜がん

下顎歯肉がん

下顎歯肉がん

上顎歯肉がん

上顎歯肉がん

口蓋がん

口蓋がん

口腔管理

がん治療を受ける患者さまの口腔管理

当院で全身の様々ながんの治療を受ける患者さまには、専門の口腔ケアスタッフが必要に応じて病室へうかがい、口腔管理を行っています。地域歯科医院と連携して、退院後も継続的な口腔ケアを実践しています。

お口の中のできもの

良性腫瘍:舌や歯茎、唇の口内炎やできもの

よく目にするような口内炎から、噛んでできてしまった傷ややけど、しこりなど口の中にはさまざまな物ができます。その中のほとんどは良性の病変です。また中にはがん化する恐れのあるものもあるため適切な経過観察や必要時の生検など早期に診断・治療を行っています。

顎にできる腫瘍

顎骨腫瘍:顎の骨の中にできる病変

歯との関連があるものが多く、病変の性質によっては歯を含めて治療対象となることが多く認めます。治療の際には手術が基本ですが、術後の口腔機能の回復も考慮した治療を心掛けております。またかかりつけ歯科の先生との連携の元、発症部位や患者さまの年齢に応じて治療を行っております。

顎変形症

顎変形症:顎骨の形態的な不調和を伴う歯列不正

近在の歯科矯正医との連携のもとで外科的な治療を担当しています。まずは、お近くの矯正歯科専門医にお尋ねください。
当科では、矯正歯科専門医と大学の顎変形症チームとカンファレンスを行い治療方針や手術内容を決定しています。また手術に際しては、最新の3Dプリンターを用いたモデルサージェリーや超音波切削機器による出血の軽減に努めています。

手術前の側方顔貌

手術前の側方顔貌

手術後1ヶ月の側方顔貌

手術後1カ月の側方顔貌

手術前の咬合

手術前の咬合

手術後1ヶ月の咬合

手術後1カ月の咬合

口唇口蓋裂

口唇、口蓋裂は日本人では約500人に1人と最も発生頻度が高い疾患です。出生時の授乳に関わる治療から、口唇裂手術、口蓋裂手術、歯並びや咬み合わせの治療など、長期にわたる治療が必要となります。当院では、産婦人科、新生児科、小児科、形成外科、歯科口腔外科、耳鼻いんこう科、看護室による総合チームでのサポートを行っています。

治療

出生前のカウンセリング

近年では、超音波診断技術の進歩により出生前から本症が診断される事が多くなってきました。そのため家族に正しい知識を提供し、出産後の哺乳方法、本症の治療の流れを含めたカウンセリングを行っています。

出生後

口唇、口蓋裂患児は、口腔内を陰圧にする事が難しく、哺乳に時間がかかるため摂取量が増加しにくいことがあります。そこで経管栄養を含めた対応が必要となります。当院では口唇、口蓋裂用の最適な哺乳用乳首で指導を行っています。また哺乳床(ホッツ床)は内側(粘膜が接する側)が軟らかいソフトレジン、外側がハードレジンで作られ口腔と鼻腔を隔てることによって哺乳障害の改善が期待できるものです。この装置は破裂部を調整することで顎発育誘導効果があり、口蓋形成術時まで使用します。通常、型取りをして数日から1週間で完成します。

口蓋裂用の哺乳用乳首

口蓋裂用の哺乳用乳首

哺乳床(ホッツ床)

哺乳床(ホッツ床)

病棟看護師からのコメント

口唇口蓋裂は、唇や上顎が割れた状態で生まれてくる先天的な口の病気です。日本人では500人に1人の割合で生まれる比較的頻度の高い病気です。口唇口蓋裂の赤ちゃんの多くは、探索反射(唇に乳首などが触れると首を回して探す動作)、吸てつ反射(口に入ってきた乳首を吸う動作)、嚥下反射(おっぱいを飲む動作)をキチンと備えています。まず、赤ちゃんの特徴にあわせて、飲みやすい乳首を検討し、ご家族と一緒に授乳練習を行います。また、裂の程度によっては直接母乳も可能ですし、搾乳した母乳を赤ちゃんにあげることもできます。そして、哺乳床(ホッツ床)を装着することで、口から鼻への漏れを防ぎ、赤ちゃんは正しい哺乳を学習していきます。お家で安心して育児が行えるように、哺乳床の着脱やお口のケアなどの練習も一緒に行います。ご家族がすこやかな生活を送っていただけるように、さまざまな面でお手伝いをします。

口唇形成術

対称的な赤唇部、手術痕が目立たない白唇部、形のよい外鼻を形成するなど審美的目的と口輪筋の連続性を再建することで哺乳運動を改善させるという機能的目的で、生後3~4カ月ごろに実施しています。

口唇裂手術(生後3カ月)

手術前

手術前

手術前02

手術後10日

手術後10日

耳鼻科との関わり

口蓋裂の患児は筋組織の形成異常に伴う耳管の開閉機能異常が起きやすく中耳炎を起こしやすいことから耳鼻科医の診察は不可欠です。手術時にチュービングを併施することがあります。

口蓋形成術

口蓋形成術の主目的は、口腔と鼻腔を遮断するとともに軟口蓋で分断された口蓋帆挙筋を再建し良好な鼻咽腔閉鎖機能を獲得することです(写真)。言語を獲得する前の1歳半頃に口蓋形成術を行っています。また口蓋裂術前後は、言語聴覚士による治療、言語訓練が必要となることもあります。

口蓋裂手術(生後1歳6カ月)

手術前

手術前

手術後

手術後

学童期以降

口唇、口蓋裂患児は歯の萌出異常や歯列不正を起こすことが多く、早期からう蝕予防を行い、口腔環境の管理を充分に行う必要があります。6歳頃から永久歯との交換が始まるため、矯正歯科と連携し将来的な咬合完成の立案を行っています。また必要に応じて顎裂部骨移植術(8~9歳頃に顎裂部を閉鎖し連続した歯槽弓を形成することを目的として行われ、腸骨による自家骨移植を実施している施設が多い。)や外科的顎矯正手術(顎骨の成長が完了した後に、咬合や審美性を考慮して行われる。)が行われます。なお、矯正歯科治療は保険診療が認められており、施設基準を満たした医療機関において行われています。

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